小さな声を洩らす穂高に、高志は拳を震わせたが、徐に下ろすと胸倉を掴んでいた手を離した。 「でも、あずみだけがいないんだ……」 穂高は、真っ直ぐに高志を見つめる。 すぐさま高志はその視線を逸らすと、拳に募った怒りを突出した。 だが、その矛先は穂高の頬を掠め、冷たい欄干に突き当たる。 鈍い音が弾き出され、穂高の心が震えた。