天使の羽根


「たぬきが……おって、さ…………」

 智子の横顔を見つめる穂高は、燻る感情で動悸を煽る胸を押さえた。


――俺だけが戻ってきた理由は……きっとここにある。


 暫くして、智子は病室に入ってきた穂高に気付いたようで、途中で歌を止めてしまった。

 智子はぎこちなく、やっと動く首を動かし、穂高を見据える。

「お帰り、穂高」