「俺は確かにこの手にあいつの手を握ってたんだ! 離す訳ねぇんだよ! なのに、あいつだけ過去に置いてきちまったってのかよっ!?」

「たぶん……そうなんだと思う」

「思うってなんだよ! 俺の事は確実みたいな言い方したくせに、あずみの事は『思う』かよっ! くそっ!」

「……すまない」

 高生はそう言って、悔しそうな表情を見せた。だが、今、一番悔しいのは穂高なのだ。