高生は、その中から大切そうに小さな箱を取り出すと、穂高に差し出して見せた。

「……これは」

 穂高は下唇を噛締めた。

「穂高くんが、あずみちゃんに渡すはずだったプレゼントだろう? 誰かに持っていかれては大変だと思ったから、私が預かっていたんだ……君が帰ってくる今日まで……」

 穂高は、恐る恐る、その箱を手に取った。

「帰って来る日を……知ってたのか?」

「知ってたよ」

 そう言って高生は深く頷いた。