天使の羽根

 穂高は額に掌を当て、記憶の糸を手繰るように思い出そうとするが、眉間に皺を寄せ表情を歪ませた。

――頭、痛ぇ……。

 そう思い、髪をかき上げようとして穂高はハッとする。

 出来れば夢であってほしいと願い、生々しく体験した事が全て幻だったのかもしれないと願ったが、やはりあれは現実だった。

 髪の短さが、過去へ行っていた事が嘘ではなかったと知らしめる。

――夢じゃなかった……過去に行ってた事も……ここにいる現実も。

「でも、帰って来れた?」

 ふいに呟いた穂高に、高生が「そうだね」と返した。

 思わず、穂高は息を呑み、高生を見つめ返した。