少しは気持ちが落ち着いただろうあずみに、穂高は胸を撫で下ろす。そして、恐怖に敷き詰められた気を紛らわせるように笑う。 「あっちに帰ったら、みんなに何て言おうか」 あずみは、ゆっくりと穂高を見つめ返した。 「そうだね……誰にも真似出来ない事だもんね」 「自慢してやろうぜ」 欄干に立ち上がり、バランスを整えた穂高は、あずみに手を差し伸べた。その差し出された手を握り、あずみも同じく欄干に上る。 いよいよだ、そう思い穂高は、あずみの体を支えるように抱き寄せた。