だが、あずみは下を覗き込んで足が震え、後退りする。 「やっぱり出来ないよ。穂高」 その恐怖は、飛び降りるという行為にはなかった。下には、まだ幾人かの遺体が浮かんでいる。飛び込むという恐怖以外の感情が心を抉る。 「でもやるしかない。大丈夫、前もそうだったろ? 水に落ちる前に俺たちは飛ばされた、だから、今度もきっと」 穂高は、言い聞かせるように言うと、あずみの両肩に手を乗せ見つめた。 「大丈夫」 「でも、帰れる保証無い……」 「それでもやるしかないんだ、一か罰でも飛び込むしかないんだよ」