廊下に顔を出しざまに叫んだのは母親の史恵(ふみえ)だ。 待ちかねたように穂高に抱きつき頬ずりをする。 年に似合わず緩やかな縦巻きの髪に、大きく胸の開いた花柄のチュニックに厚化粧、おまけにきつい香水を漂わせ、穂高にとっては迷惑極まりない。 「んだよ、くっせ~な! 離れろ! 馬鹿親!」