キヨは、何もかも理解した上で、豊子の腕の中で静かに寄り添っている。 そんな二人を見つめながら、穂高とあずみは夜になるのを静かに待っていた。 なぜなら、今日が満月だからだ。 この時代に来た日と同じ、満月の夜に、あの川に飛び込めば何もかも元通りになると信じていた。 確実な訳ではないが、それだけがこの時代で生きる糧になっていた事は確かだった。