天使の羽根


 穂高が凝視して逸らせない視界に映ったのは、重なるように横たわっているものだった。残された塀の角に、寄り添うようにあるそれは、明らかに人の形をしている。

「智子っ!」

 背後から轟く叫び声に、固まっていた穂高は飛び上るように驚いた。

「でも、まだ……智子さんって決まった訳じゃ……」

 穂高を横切り、駆け寄ろうとする豊子を止め、そう言ってはみるものの、震える声が間違いではないと断言しているようだった。