◇ 「……嘘」 しかし、辿り着いたそこには、何もなかった。 かろうじて残っているのは、まっ黒に燻る炭のような柱ばかりだ。 穂高は、震える腕でキヨをあずみに預けると、元々あったであろう玄関へ足を踏み入れた。 「どこかに避難しててくれればいいんだけどな」 その後を追うように一歩を踏み出したあずみに「お前は来るな」と、穂高は、振り向かないままに制止させた。 「キヨちゃんとおばさんと、一緒にいてやってくれ」 そう言って、一人奥へと入っていく。