天使の羽根


 あずみの心配そうな顔に一瞥の不安が過る。それでも、穂高は込み上げる違和感をかき消すように前へ進んだ。

「川はすぐそこだ」

 清がそう言ったなりだった。

「あなた! 百合がっ!」

 叫んだ豊子の声に、皆が一斉に百合を見た。

「百合っ!!」

「早く消せっ!」

 慌てて穂高はキヨをあずみに渡すと、百合に駆け寄った。

 清は、自分でかぶっていた頭巾を取り外し、百合の頭を叩きはじめる。

 どこかで燻っていた炎が、百合の頭に飛び火したのだ。

「百合っ!」