天使の羽根


 そうこうしているうちに、ようやく土手を上がったらしい。ここを降りればすぐだ。煙で視界が悪かったが、微かに湿気が感じられ、人は更に吸い寄せられるように多くなっていった。

 誰もが乾いた喉に水を求めて、疲れ切った体を無理やり前に押し出していく。

 その先からは、バシャバシャと激しく水面を打つ音に混ざって、罵倒や呻き声が聞こえた。

 幾度となく背中を押されながら、異様な雰囲気に穂高はキヨを落としそうになる。

「何だ……?」

「穂高……よく見えないんだけど……」

「ああ、でも後ろから炎が迫ってきてる。水の傍の方が安全だろ」

「うん」