天使の羽根


「ん、平気……ちょっと煙を吸っただけ……」

 ちょっと、と言ったあずみだったが、辺り一面に炎と煙の世界だ。相当に苦しいはずだった。見れば、豊子に手を引かれ走るキヨも限界に近いらしい。時折、よろめいては転びそうになっている。

 清に抱かれた百合も、既に意識がもうろうとしているようだ。

「あずみ、絶対に俺から離れるなよ」

「うん」

 大きく頷いたあずみは、穂高の意思が解ったようだった。あずみはゆっくりと穂高から手を離した。

「おばさん、キヨちゃんが限界だ、俺が抱っこしてやるよ!」

「でも!」

「いいから!」

 そう言って穂高は、半ば奪うようにキヨを抱きあげて走った。