天使の羽根


 焼夷弾は落ちると同時に勢いよく火を噴き、悪魔のような炎をまき散らす。それは見る見るうちに、人々の衣服に飛び火し、瞬時に苦しみへと誘う恐ろしい爆弾だった。

「危なっ……!」

 駆けだす事もままならないまま、穂高の手は宙をさまよった。

 泣きじゃくる幼い兄弟は一瞬にして炎の中へと消えていったのだ。

「……っ!」

 穂高は、おろす事も忘れた掌を悔しそうに握り締めるしかなかった。

「何したってんだよ……みんな……みんなが! 何したってんだよ!!」