穂高はあずみの手をしっかりと握りしめ、炎の中ごった返す人波を掻い潜った。 半狂乱になりながら体から炎を巻きあげ、助けを求める人を、心を鬼にして避け走り続ける。 横目に、息絶えていく様を見流し、穂高は唇を噛んだ。 「穂高……もう、ヤダよ……」 弱気なあずみの声が届く。 それでも穂高は振り向かず、その手を握り離さない事しか出来なかった。