どんなに自分の未来が贅沢なものなのか、目の当たりにして感じていたのは、一番に穂高自身だった。

 それが証拠に、今まで生きてきた穂高のやる気のなさと言えば自他ともに認める部分だっただろう。

 それなのに、こんなにも人の考えに対して熱くなれる自分がいる事に、正直驚いている。

 道彦の考え方に納得の出来ない穂高は、初めて人に反発心と言うものを抱き震えた。

 それが出来た事の一つに、あずみの存在は大きい。

 きっと、人を愛するという自分の気持ちに気付かなければ、道彦の考えも行動も、もっと軽く捉えてしまったかもしれない。