天使の羽根


 そのまま語尾を続けないまま、道彦は双眸を伏せた。

「いや、やっぱり辞めておこう……」

「なんだよ、ったく」

 腑に落ちない穂高は、舌打ちをして見せると、道彦の横顔を眺めた。

 思いつめたように強張った表情に、思わず息を呑む。

 再び瞼を開けたその瞳は、何らかの決意に充ち溢れたように強い眼差しを含んでいた。

「私は生まれつき片耳が悪い……だから徴兵検査の時に弾かれたのだ」