憂いな瞳で、レンズを見つめる道彦は、初めて見せる柔らかな表情を浮かべていた。 何もないこんな時代で、且つ厳しい表情を崩さなかった道彦にも、そんな優しい表情が作れるのかと、穂高の心が揺れる。 「私は……世界中の美しい景色を撮って旅する写真家になりたかった」 ポツリと弾き出された言葉が、痛く穂高の心を軋ませた。 「なりたかった? 何で過去形なんだよ」 「……最早、叶わぬ夢だからだ」 穏やかながらも、道彦の口調は固い。