この時代の切迫感のなさに呆れたように項垂れる穂高に、道彦は無表情のままだった。 「今は配給に頼ってるって言ってるだろ、駄菓子にしても仕入れが出来ない以上に、それを買う客だってそれどころじゃない。駄菓子を買うより先に米を買うよ」 「だったら、なんでまだ駄菓子屋開けてるんだよ」 「いつ終わるか知れない戦争だ、いつでも、また始められるように畳まないんだろう。それに、閉めてしまったら、子供たちの拠り所がなくなる」