小さな撮影部屋で、仕事場から帰宅してすぐの道彦は、大事そうに、いそいそとカメラの手入れをしている。

 それを眺めて、何もすることがなくなった穂高は、窓際に腰かけると、薄い雲で覆われた空を見上げていた。

 遠くから微かに聞こえる、飛行機のエンジン音。

「なぁ」