◇

「お姉ちゃん!」

 暗い夜道が続く中、一件だけ明かりが灯った家先から飛び出してくる子供がいた。

 涙を目に一杯に溜めこんで、その子は縋るように智子に抱きついた。

「智子!」

「帰って来た!」