ずぶ濡れになった姿を見て血相を変えた道彦は、穂高に見向きもせず、一目散に智子に駆け寄り肩を抱すくめた。

「いったいどうしたって言うんだ、こんなに濡れて……まさか死のうなんて考えたんじゃ……」

「ごめんなさい」

 道彦は、やっぱりと言った顔で眉尻を下げた。