心配そうにあずみは智子を見つめた。

 その時だ。

 ガサガサと川縁の草むらが揺れ、人影が姿を現した。

「智子さん!」

 息せき切ったその声は、徐々に近付く。

 穂高もあずみも、一瞬で身を強張らせた。