天使の羽根


「別に何にもしてねぇよ」

「ふ~ん……」

 そっけない返事にもかかわらず、あずみが穂高の横に腰をおろした気配が風を起こす。

「ったく、お前はいつも何で俺に構うんだよ」

 言いながら上半身を起こした目の前に、いつものハンカチが映る。

「もうお昼だよ」

「あ……」

「お弁当、いつもどうして自分で持ってこないのよ? 穂高のお母さんにいっつも頼まれるんだけど」

「俺は頼んでねぇじゃん」

「しかも、高校に来てからずっとだよ。でも、まぁ嫌な事でもないけどさ」

「って言うか。お前人の話聞いてんの? 俺は頼んでないって言ってんだろ」