穂高は、その人波をかき分けるも、どこにも足を踏み入れようとはしない。 駅前最大のアミューズメントビルには、いくつもの店舗が目移りするほど入っているというのに、そこにすら入ろうとしない穂高に、いい加減痺れを切らし始めた高志がぼやき始めた。 「もう、どっか入いらねぇ?」 「ああ」 「朝飯食ってねぇし、腹減った」 「そうだな」