青い海

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・遅くなってゴメン・・・」
「いいよ、気にしなくて」
行乃君は、優しく微笑んだ。
「え~っと・・・どこから案内すればいい?」
「運動場」
「了解」

テクテクテクテク・・・・

―――― 3分経過 ――――

「ここだよ」
靴に履き替えて、運動場に出た。
「体育倉庫のどこに何の道具があるのか、把握しておきたい」
「?・・・・うん」
体育倉庫を開けて、中に入った。
「サッカーボールはそこ、今は陸上部が使っててないけど、ハードルはそこ、ゼッケンはそこ・・・・・」
順番に説明していく。
「・・・・はそこ。いい?」
「ありがとう」
「で、この体育倉庫は内側からしか鍵が無いから」
「・・・どうやって施錠するんだ?」
「え~っと・・・・・先生が」
「・・・どうやって?」
「ほら、天井に穴があるでしょ?」
「・・・うん」
「とある先生がいて、その先生は、あの高さから降りられます」
「はい」
「その先生は、はしご無しで天井で上がれます」
「・・・・雨が降ったら?」
「板で防ぎます」
「・・・・・・・・」
なんとなく重い沈黙。
「・・・・・ずいぶんと警戒心の無い」
行乃君が、ぼそっと呟いた。・・・・よく聞こえなかった。
「・・・・なに?」
「お前、女だろ?」
「それが?」