嫌じゃない、嫌じゃない! むしろ、なんかちょっと嬉しいけど……って僕はホモじゃなーい!

 でもまったくもって嫌な気がしないのはなんでだ!?

 そんな心の葛藤を繰り返してようやく、見ていた男たちが去っていき、ベリルは小さく溜息を吐き出して健吾から離れる。

 が、健吾の動悸はまだ収まらなかった。

「すまない」

「あっ、いや……あはは」

「さすがに同じ人間が店にいたのでは疑われてしまう」

「え? あ」

 そうか、さすがに店も怪盗が現れた店舗の監視カメラはチェックしているよな。

 そこにいつもイエ……ベリルさんが映っていれば疑いもするか。

「また偵察に行ったの?」

「いや、遂行中はこの恰好でいろと言われてな」

「そうなんだ」

 彼はそんなに有名人なのかな?

「今回は少々、手荒くいくか」

 ベリルは小さく溜息を吐いて頭をかいた。