いつものようにバイトを終えて、

「お疲れ」の挨拶で店を出る──でもここからがいつもと同じじゃない。

 健吾は、ベリルたちの泊まっているホテルに向かうべく歩き出す。

「!」

 突然、腕を掴まれて振り向くと、掴んだ主は健吾の反応に構わずズンズンと歩き続ける。

「あ、イエ……ベリルさん」

「私の言葉に合わせてもらいたい」

「え?」

 絶世の美女に扮しているベリルは立ち止まった。