確かによく見ると薄いアイラインとルージュを引いているだけだ、それでなんで女にしか見えないのか健吾には皆目、見当がつかなかった。

「おい」

「わあ!? なんだよっ」

 突然、泉の顔が割り込んできて口から心臓が出そうになった。

「変な考え起こすな。こいつは俺のだ」

「誰がだ……」

「えっ!? そういう関係!?」

「そう、そういう関係」

「覚えはない」

 にっこりと微笑む泉とは逆に、ベリルはとても嫌そうな表情を見せている。

 どうやら追いつ追われつという関係らしい。