寝覚めは複雑だった──

「なんかサイアク」

 なんで僕がベリルさんに愛の告白してるんだよ。

 思い返しただけで鳥肌が……鳥肌、立たないな。

 なんだろうか、あれだけ綺麗だともう性別なんかどうでもいい気がしてくる。

「や、もちろん僕は願い下げだけどね」

 つぶやきつつ洗面台に向かった。

 さすがにホモになる気は無い。

 いくら綺麗でも男は男、欲情なんかこれっぽっちもしない。

「……イエナさんに会えるかな」

 実はそんな邪(よこしま)な考えもあって断固、引き下がらなかったのだ。