「そいつがイレギュラーってやつか?」

 車を走らせながら運転している男が発した。

「な、なに……?」

 訳が解らず、運転席と隣の男を交互に見やる。

「──っ」

 怪盗が左耳に装着していたヘッドセットとマスクを乱暴に外すと、健吾はその顔に目を丸くした。

 中性的とも言える顔立ちは、やはり日本人ではなく同じ男でさえも見とれてしまうほどの容姿──そして、表情の見えないエメラルドの瞳に背筋が凍った。