ミッドナイト・キャナル

「待って!」

 怪盗の前に現れた人物──健吾だ。

 少し尻込みして怪盗の瞳を見つめ声を絞り出そうとしたが、輝くエメラルドの瞳と目が合い動けなくなった。

 威圧されている訳でも、睨まれている訳でもないのに、どうしてだか微かな声さえも口をついて出ない。

 怪盗の存在感に圧倒されている。

 ただ見つめられているだけなのに、恐ろしいほどの強さが滲み出ているような気がした。

 動かない青年を確認し、怪盗は無言で健吾の前から去っていく。

「ああ、行っちゃった。折角、見つけたのに」

「おいっ! お前!」

 落ち込んでいる暇もなく声をかけられる。