ジュエリーショップ「ケファロス」──路地にある裏口から、黒い影が静かに出てくる。

 その影に素早く近づく、これまた黒い影が3つ。

 裏口から出てきた黒服の影は、睨み付ける3人の男をエメラルドの瞳で一瞥していった。

「盗んだ宝石を渡せ。でなければ痛い目をみることになるぞ」

 共に、黒いスーツに身を包んでいる男の1人が手を出して発した。

 その手を見つめて目を細める。

「どうした。渡さないつもりか」

 他の2人は身構えて、いつでも攻撃出来る体勢を取っている。

「クク……」

 その様子に、黒服の影──怪盗は小さく喉の奥から笑いをこぼした。

 それに頭に来たのか1人の男が攻撃を仕掛け、怪盗はその男に回し蹴りを食らわせた。