「今日のタゲは?」

「裏通りにあるケファロスという店だ」

「名前の付け方に問題ないか、それ」

 男は複雑な表情を浮かべた。

「配線を頼む」

「おう。そっちも偵察気をつけてな」

 確認しあうと先にイエナが離れていくが、ふと何かに気がつき振り返る。

「泉」

「あん?」

「イレギュラーがあるかもしれん。警戒はしていてくれ」

「……イレギュラー?」

 発して再び歩き出すその背中に、男は首をかしげた。