「ボコられたくなかったらサイフよこしな」

 その言葉に男はニヤリと口角を吊り上げた。

「カツアゲするなら相手を選ぶんだな」

「いいからカネだ──っ!? がはっ」

 青年が言い終わらないうちに、その胸ぐらを掴んで足払いをかまし地面に転がす。

「!? てめっ! なにやっ──ひっ!?」

 身を乗り出した青年に突きつけられた手には、他の人間には見えないようにナイフがチラリと覗いていた。

「相手を選べと言ったはずだ」

「……っ」

 先ほどとはガラリと変わった雰囲気に、青年たちは喉を詰まらせる。