一方の青年たちは20代に入ったばかりかもしれない。

「謝れっつってんだよオッサン」

「ぶつかってきたのはそっちじゃなかったか」

 1人が男の顔を見上げてすごむが、当の男性は呆れた表情を見せて小さく溜息を漏らす。

 草色のカーゴパンツに、グレーの前開きシャツと深緑のベストを合わせた服装だ。

 男のガタイは良く鋭い瞳に威圧感を漂わせているが、自分たちは複数なのだという安心感が虚勢を張らせていた。

 男にはそれが見て取れて、自然と口の端が緩む。