「お前は答えが欲しいのではない。己が安心する言葉が欲しいだけだ」

「!?」

 返された言葉に、頭を殴られたような衝撃を受ける。

 そうかもしれない──そこに真実は必要ない。

 ただ僕自身が、安心したい言葉を待っているんだ。

 固まった健吾を見つめ、イエナは静かに立ち上がり伝票を手にしてレジに向かった。

「……」

 自分で気づかなかった心を見透かされ、彼女を止める事も出来ずにその後ろ姿を消えるまで見つめているしかなかった。