「……」

 そこで健吾はピタリと足を止めた。

 もしかして男のふりして……いいや、そんなワケがあるものか!

 それに、なんで彼女を疑ってるんだよ僕は!

 金髪女性も外国人窃盗犯も、ここじゃ珍しくないじゃないか。

 もしかしたら、日本人が外国人に見せかけるために金髪に染めてるのかもしれないし、カツラだっていう可能性もあるんだぞ。

 自分の考えを振り払うように頭を振って、到着した電車に滑り込んだ。