薄明かりのなか、店内を探る。

 監視カメラの赤いランプが、威圧感を与えるようにいくつも点灯している。

 そこかしこにセンサーが設置されていることが窺えた。

「頼む」

 確認した影が左耳に装着している小型のヘッドセットにマスク越しで小さく発すると、微かに聞こえていたモーターらしき音が一斉に消えた。

 静まりかえった店内で、ペンライトのスイッチをONにして目的のものに近づく。

 影は、展示ガラスに収められている宝石を見つめてガラスカッターを取り出した。