深夜2時──

「眠らない街」とは言うけれど、その路地裏は薄暗く誰1人そこに目を向ける者はいない。

 そんな、とある路地裏に一つの怪しい影が……暗闇に映えるのは金のショートヘア。

 黒い服に身を包み、目から下は黒いマスクで顔を隠して暗視スコープを装着している。

 音に注意しながら周囲を見回すと、およそ3mの高さに小さな窓あった。

 それを確認し、狭い場所を利用して飛び上がり窓のへりに手をかける。

 窓はもちろん閉まっているが、その影は片手で何かの作業を始めた。

 黒いベストのポケットに手を入れ、透明シールのようなものを取り出す。

 それを曇りガラスに貼り付けて、再びポケットに手を入れた。