「警視庁の知り合いしかいなくてね」

「う……くそっ」

 男はベリルに睨みを利かせ立とうとするが膝がガクガクと震えて、あぶら汗を垂らしている。

「動けば痛みが増す」

「何したんです?」

「痛点を突いた」

 それを聞いて再び男を見下ろす。

 彼はいま、動けないほどの痛みを受けているんだと思うとその姿に悲哀を感じた。

 僕に仕返しなんかしても意味無いのに、怒りのはけ口が欲しかったんだろうな。

 はけ口にされる僕はたまったものじゃないけど、逃げてた方がこんな痛い思いせずに済んだだろうに。