「あれ……エメラルドが2つ?」

 よくは解らないが、2つともエメラルドだという事だけは解る。

「一つはベリルに渡すはずだったものだ」

「え?」

 ほぞりと発した泉を見て、彼に視線を移した。

 泉はなんの表情も映し出さないベリルを一瞥し、エメラルドの一つを手にして続ける。

「依頼主の父親はこいつの友人でな。娘の依頼で、初めて自分にも遺品が残されていたことを知ったのさ」

 それがこいつ──『エンジェルズ・エメラルド』