「!? 馬鹿な!? これが目に入らないのかっ!?」

 青年をグイと引っ張り、強く銃口を当てた刹那──金属が落ちるガシャン、という音が背後から響き目を向ける。

 視線の先にある手錠から、ゆっくり視線を上げたそこには、ベリルが無表情で立っていた。

「そんな、馬鹿、な」

 アルジャンは激しい後悔におそわれた。

 どうして泉を拘束しなかった、どうしてすぐにこいつを眠らせなかった!? 全ては手遅れだと解っていても、逆転出来る要素は無いかと考えを巡らせる。

「!」

 そこで男は気付く──相手に出来る数──そうだ、何か違和感があったのはそれだ。

 集めた数に対して、ここにいる人間の数が明らかに少ない、少なすぎる。