さらに数分後──泉が大きな足音を立てて居間に顔を出した。

 大きな足音は当然だ、泉の足下を見やるとトレッキングシューズで屋敷内を動いていたらしい。

 老人は、檜(ひのき)の一枚板で造られたテーブル越しに苦い表情を浮かべた。

「さっそくで悪いが、ベリルはどこだ」

 彼はそれに肩をすくめる。

「別行動だ。解る訳がない」

 小さく舌打ちを返し泉を睨み付けた。

「聞いてるんだろう! 出てこい!」

 青年をグイと引き寄せ、そのこめかみにハンドガンの銃口を突きつける。