捕まえたあとは眠らせておけと言われているためだが、目覚めていればそれだけ危険という事に二の句が継げなかった。

 回し蹴りの一発でダウンしてしまいそうな細腰の奴を相手に、どうしてそこまで警戒しなければならないのか半ば腹立たしささえあった。

 今まで奴とは相まみえる機会が無かったとはいえ、それなりに盗賊の世界では名の知れた自分が、たった1人の傭兵ごときを恐れているなどとは思いたくないのだ。

 そんな屈辱も兼ねて、どう奴をいたぶってやろうかと口角を吊り上げた。