「今の音はなんじゃ!?」
語気を荒げる老人に背を向けて、男はヘッドセットからの報告を聞く。
聞いたあと由三郎に振り返った。
「奴らの攻撃だったようだ」
上手い手を考えたな……眉をひそめる。
外に気づかれるのはお互いに避けたい、そこを突いてきた。
そして銃を使わせる事に成功した。
いくらサイレンサーを装着しているとはいえ、日本において極力、使用は避けなければならない武器だ。
「鳥かごに誘い込んだつもりが、こっちに不利な流れになっている」
つくづく、ベリルという奴は手を焼かせてくれる──この代償は高く付くぞ。