健吾はバイトを終え、今夜の食べものを買ってアパートに戻る──質素な部屋は、夏にもかかわらず肌寒ささえ感じられた。

 固定電話の料金を払う金も無いので設置すらしていない。

 テレビをつけて、コンビニの袋からミートスパゲティを取り出し、リサイクルショップで購入した小さいテーブルの前に腰掛ける。

 画面には、また怪盗についてのコーナーが映されていて健吾はいい加減うんざりした。

 本当の怪盗なら予告状とか送ってそうだけど、さすがにそこまでドラマや映画みたいな訳にはいかないか……そんなの、ただのバカだし。

 小さなテレビにツッコミを入れつつ、ミートスパゲティを口にほおばった。