泉は裏口に、ベリルは正門に向かう──多少、違和感のある服装だが堂々としていれば怪しまれる事はない。

 閑静な住宅街にあって、その違和感が打ち消されるのは大賀邸の存在のせいだろう。

 かの邸宅における日常の様子は、一般家庭から見て普通とは呼びづらいものがある。

 ここ数日間に至っては、まさに住民が見て見ぬふりで過ごすほどに慌ただしくなっていた。