「まあ確かにそうだわな」

 泉が苦笑いで発した。

「形見の位置づけはそれぞれだ。彼女にとっては、かけがえの無い物だと私が判断し依頼を受けた」

 中には、高価な宝石も含まれている。

 依頼主は決して裕福な生活ではない──しかしそれを理由に売り払う事はせず、ずっと手元に残していた。

 彼女にとっては金銭的価値はなく、精神的な価値でしかない物なのだ。

「それでこそ受ける意味があったってことさ。そうじゃなきゃ俺に協力要請はしてこなかっただろうけどな」

 泉はニヤリと笑んでベリルを見やった。

「当然だ。お前と会うのはできるだけ避けたい」

「地味に凹むこと言うなよ……」

 相変わらず、さして気にしていない口調で応える。